「どんな人を目指しているのか」   05.01.23
                        ルカ22:24〜30

 弟子たちが、自分たちの内で誰が一番偉いかを議論していたと
いうのです。弟子たちは、9章でも同じ議論をしていました。
 その時は、イエスさまから「あなたがた皆の中で最も小さい者
こそ、最も偉い者である」と言われました。
 今日の場面では、「いちばん偉い人は、いちばん若い者の
ようになり、上に立つ人は、仕える者のようになりなさい」と
言われました。
 「若い者」というのは、奉仕をよく頼まれ、それを受ける人です。
 イエスさまは、率先して奉仕をし、仕える者でありなさいと
おっしゃいます。

 弟子たちは、イエスさまの言葉を聞いて、どう思ったでしょうか。
 イエスさまがおっしゃったことは、初めて聞くような内容だった
でしょうか。
 そうではないはずです。弟子たちには、分かっていることでした。
 彼らは、人の上に立つ権力者になりたいと考えていたのではなく、
神を愛し、人を愛する者になりたいと願っていたはずです。
 しかし、それを忘れてしまっていました。イエスさまの言葉を聞いて、
弟子たちはもう一度目指すべき姿を思い起こすことができました。
 私たちも、イエスさまの言葉によって、自分の普段の生活を反省させ
られます。また、支配したり、されたりする関係でなく、仕えあう関係
こそが世界には必要であることを、あらためて思わされます。
 この場面で、まず心に刻みたいことは、私たちがどうあるべきかよりも、
イエスさまがどうして下さるかということです。
 イエスさまは「わたしはあなたがたの中で、いわば給仕する者である」と
おっしゃいます。私たちの救いのために、ご自分の体を裂き、血を流して
仕え切って下さいました。
 また、「あなたがたにゆだねる」とおっしゃいます。
 ゆだねるのは、信用して下さっているということです。あるべき姿を
見失って、妙な議論に陥ってしまっている弟子たちに対して、驚くべき
言葉です。
 しかし、この言葉に励まされ、情けない自分を責めるのでなく、再び、
目指すべき姿に向かって進みだせるのです。弟子も、私たちもです。